2018年1月12日金曜日

冬こそ、濃い温泉。

静岡市の秘境の温泉、濃い温泉の梅ヶ島温泉です。


「濃い温泉。」というキャッチコピーは、2012年初夏に作ったこのポスターから始まりました。

それ以来、「濃い温泉というのは、どういう意味ですか?」とお問い合わせをいただくことがありますが、きょうはその答を書いてみます。

梅ヶ島温泉は、静岡市を流れる安倍川の最上流にあって、道路はよく整備されて走りやすくはなっていますが、距離としてはJR東海道新幹線と東海道在来線の静岡駅から45キロメートルもあって、車で1時間以上、静岡駅前から出ている一日五本の路線バスで約2時間というところにあります。

静岡駅から一度も右左折することなく、「安倍街道」(県道27号線と29号線)をひたすらまっすぐ来た最後の場所が梅ヶ島温泉なんですが、途中にはいくつもの村落、集落があって、その集落と集落の間は、まったく人の住んでいない山また山の自然の中ですから、猿を見かけたり、鹿に出会ったりすることもあります。

静岡市は人口約70万人の政令市で、静岡駅の近くはほどよく都会的でもあるんですが、梅ヶ島温泉まで車やバスで走ってくるうちに、人ごみも騒音もなくなっていき、梅ヶ島温泉に着くころには、日常のホコリも雑念も洗い流されて、別世界を実感するきれいな空気と、山々と、清流しかない中に旅館や民宿があって、そこに最高の温泉が待っていてくれるのは、まさに奇跡としか言いようがありません。

何もなくて、自然だけ。
何もなくて、温泉だけ。

それが梅ヶ島温泉を体験することで、この体験はどこよりも濃いものになる──ということで、「濃い温泉」という言葉が生まれました。

万病に効くという信仰を集めてきた歴史ある硫黄泉は、千七百年といわれる年月を経てなお、今も滾々こんこんと湧き続けているんです。